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NEC LL750/C PC-LL750CS1BC パソコンが起動しなくなった

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パソコンが起動しなくなったんですよ。データだけでもなんとかなればいいんですが・・・。

ということでお持ちいただきました。データはね、パソコンの場合は大抵なんとかなるんですよ。外付けのハードディスク単体よりは断然なんとかなりやすい。ですから、まあ気楽にいきましょう!

とはお客様には言わず。自分の中で自分に言うだけです(笑)。だって、やっぱ診てみたらダメでしたー!なんてことがないわけじゃないから。上げといて下げるのはハートにガツンと来ちゃいますからね、ストレス。そういうのって考えちゃうんですよ。

てことでお預かりしたのは、NECのLL750/CS1という機種。2010年頃のWindows7マシンです。

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状況確認

電源が入って、NECのロゴが出て、そのあといつものアイコンが並んだ画面にならないなら大抵はハードディスクです。青い画面か、黒い画面かの違いはありますけどもね。

なので、スイッチを入れる前にハードディスクを取り出して異常がないか確認してみます。

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うん?数値が8ですか。良くはないけども、取り分けて重症というわけでもない。不良セクターというのがそれですが、数値の8は例えるならがん細胞が8個見つかったよーという感じでしょうか。

ちなみにこのがん細胞、増えるときはどこまでも増えます。下のハードディスクがまさにそれで

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ここまでくるとWindowsの入れなおしは避けられません。まあ大抵は100以上の数値で入れなおしでしょうけどもね。今回のように数個程度の不良セクタなら、ハードディスクを入れ換えたとしても 、データそのまま中身そのままでこれまでどおり使えるようになる確率は高いです。

高いはずなんですが・・・

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今回はがん細胞(不良セクタ)が出来たところが悪かったせいで、中身そのまま修理とはならず。。。

診断はこれにて終了。お客様にはリカバリ(初期化)が必要なこと、個人データは問題ないことを伝えた上で、データだけ取って買い替えられちゃったらいかがでしょうかとご提案。理由は、8年以上経過してることが1番で、その次にOfficeのディスクがないためです。それならもう新しいのにしちゃいましょうよってことですね。持って来られたときに、あまり費用が高くなるようなら買い替えもってことをちょこっとおっしゃられてたことだし。

それなのにお客様のお返事は修理して、と。なんでやねん!とまではいきませんが。。。えぇ!?とは内心思った(笑)。これは修理したほうがいい修理する価値はある!と思ったご依頼に限って、やめときます宣言だったり。これなら買い替えのほうがええんちゃうん?と思ったご依頼なのに、修理希望だったり。マーフィーの法則発動やで。

いや、だからと言って直す価値ないって言ってるわけじゃないんです。もちろん直せばまた使えるわけで。2年3年じゃなく、もしかしたら5年6年使えてしまうかもしれないわけで。ただ、どっちかっつーと、その可能性は低いですよ、ということです。

でもどうしてだろ?修理代が想定より低かったのかなあ。

リカバリ作業とデータ移行

さあて、修理と決まればリカバリからです。

壊れる前はWindows10だったというお客様の証言を元に、いきなりWindows10を入れたいところですがそこをグッと我慢。聞けば元から入ってたソフトを結構使っていたとのことなので、リカバリディスクを使ってイチからのスタートです。

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サービスパック適用までが超めんどくさい!けども気合いの放置プレイでなんとかWindows10までアップグレード完了。

終われば個人データを元に戻します。

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ぱっとみ、デスクトップの書類系ファイルに見覚えのあるやつが復活しているので、おっ!元どおりになってるやん?と思えますが、実はなんちゃってOfficeのWPS Officeさん。

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たちまちは必要なデータが開けるようにしとかないとね。メールや印刷の諸設定は面倒ですけど持って帰られちゃったあとお願いします、とお伝えし無事お引き渡し。

ご利用ありがとうございました。

あーそうだった、WPS Officeで思うことがJEMTC(ジェムテク)という一企業。全国をキャラバンみたいに回ってノートパソコンの有償譲渡会なるものを開催している一般社団法人です。 社名が日本電子機器補修協会。ただの修理屋が箔をつけるためにこんな仰々しい名前を?とも思わなくはないですが・・・修理じゃなく補修とはこれいかに(笑)。慈善団体風に見えるんですかねぇ?補修だと。なんなんでしょうね。

広島にも2月頃来ていて、私のお客さんがあやうくその毒牙にかかるところでした。実は事前に相談されたんですよね、例の「ノードパソコンをお譲りします」のPDFを見せられて、どう思う?と。基本、お客さんを否定しないのがパソコン坊主の大方針なので、(私なら買わないけど)いいんじゃないですか?中古だとちゃんと割り切って使う分には問題ないと思いますよ、とお客さんには言ってしまって。もちろんカッコ内は心の声。それが結構自分の中のどっかに引っ掛かってて。で、それから少し経ったボランティアパソコン教室で、有償譲渡会なるもので買ってきたパソコンにワードとエクセルがなんか違う!なんだこりゃ!とざわつくご夫婦をみて、あれ?これはまさか・・・となり、つい最近のネットニュースでトドメを刺されたわけです。

相場の2倍で中古PCを”譲る”団体の言い分

なんでお客さんを否定しないかというと、それは往々にして他業者さんを否定することになるからで、余所を悪くいうと自分の価値も下がってしまうからです。だからパソコン坊主は基本否定しません。でも、こういう企業さんがバンバン修理済み(補修済み?)再生パソコンをお譲りしているのを放置してると、やっぱり全国の修理屋さんが迷惑すると思うんですよね。実際私の周りでもしっかり被害者(と言っていいのか?)が出てるわけだし、なんちゃってOfficeであるWPS Officeを突っ込んどくならそれをちゃんと説明してあげないと。目の前でファイル開いてあげないと。メニュー表示が見慣れているものと違うんですよと言ってあげないと。ってことで、WPS Officeの話にようやく繋がるわけです(笑)。

いやあ、今日は長いなあ・・・

えー仕上げに。このへんは想像ですと前置きした上で、日本電子機器補修協会、これはただの一企業です。慈善団体でもボランティア団体でもありません。しっかり収益をあげているはずです。だから全国をキャラバンみたいに回っているんです。20名~30名のイベント用スタッフ抱えて、大きな会場押さえて、名だたる後援企業をひっさげて。あっ、ちなみに後援って、名義貸しみたいなもんですから。メディア系の後援企業が多いのはきっとその土地での知名度を考えてでしょう。広島ならRCCとかTSS。RCCに後援を依頼するときは、後援依頼の書類を申請するのみ。通れば晴れて後援RCCと使えるわけです。RCCだって宣伝にもなるわけだし、審査は厳しくないはず。そして相場よりちょっとお高めのパソコンを販売する。

譲ってもらう人は、そのへんをしっかり分かった上でパソコンを譲ってもらいましょう。たしか入門用ランクのパソコンが4万円で譲ってもらえるんでしたよね。私なら4万円で新品のノートパソコンを買いますが・・・あっ、これは内緒の話でした。価格.comとかまったく関係ありません。いや、でもほんとお金の使い方なんてその人次第ですから。限りある資源を大事にみんなで共有して回していきましょうよ、という意味ではJEMTCさんで譲ってもらうことに意義はありますし、買った時はエコロジーな満足感が得られると思うんです。まあ、しょせん私のお金じゃないですし、とこれまた最初のパソコン坊主は否定しません、に戻るのでした(笑)。

それにしてもイメージ戦略とでもいうんでしょうか。キーワードちりばめ系はすごいですよ。

・譲渡会、お譲りします
・官公庁大企業で余剰となった
・公共性があるかのような社会事業アピール
・地元テレビ局ラジオ局の後援
・ターゲット層である中高年へ向けた大量のビラ投入

なんつーか、商売ってこうやるんだよ?と教えてもらってるみたいで勉強になります。しかし、真面目にコツコツ修理で生きていくパソコン坊主とは分かり合えそうにないかなあ。途中から修理記事じゃなく譲渡会記事になっちゃったよ。。

お譲りしますってなんやねん!