装いも新たに。修理ブログのテイストを変えてお届けすることにしました。経緯はそのうち小出しで語っていくこととして。まずは表題のとおり、デスクトップパソコンが起動してくれなかったとき、修理屋としてどういう考えで作業を進めていくか、診断を行っていくかをできるだけ詳細に語っていこうと思います。新装開店第1回。じゃあいってみましょう。
前置き
今回のお話のメインとなるパソコンがこちら。
私が4年前に組み立てたパソコン。当時のメインストリームの部品は使わなかったと記憶しています。Windows7で使いたいという要望に応えるためでした。当時はパーツ構成に少し頭を悩ませたはずなのに、こうも簡単にWindows10にするとは・・・。まあグチってもしかたない。お客さんの勝手ですから。
聞き取り
毎日快調に使っていたところ、その日突然BIOS画面が表示されたそうです。ファンが回転してる画面という言い方でしたが、まあBIOS画面で間違いないでしょう。どうしていいかわからず、とりあえず画面を抜け出すためにF5→F10で抜けられたそうです。そのままいつものデスクトップ画面へ。変だなと思いつつ、いつもどおり使い終わってシャットダウン。次に電源を入れたらまたBIOS画面だったそうです。このときはもうデスクトップまで行ってくれずにBIOS画面の繰り返し。そして何回目かでBIOS画面すら表示されなくなったと。
症状
そして私のところに戻ってきたわけです。正直、自分の納品したパソコンが戻ってくるのは気持ちの良いものではありません。1回診たパソコンは2度と見たくないのです。診るということは良くないことがあったということですから。
そんなテンションだだ下がりの中、診断をスタート。
持ち帰って電源を入れるとしっかり通電しファンも回っている。正常時との違いはディスプレイに映像信号が届いていないだけ。なんとなくこの時点でいくつか選択肢が頭に浮かびます。メモリかグラフィックボードか、はたまたマザーボードか電源ユニットか。
診断
そうそう、初っ端に電源を入れたときはもちろん記憶装置系は一切ケーブルを抜いてます。SSDやらHDD。可能性がないところはつながない。これは診断の基本ですね。電源ユニットはよっぽどのことがないとあれなんで、可能性とやりやすさの順からいってみましょう。まずはグラボ。
取り外したらマザーボードの映像出力とディスプレイをケーブルでつないで映るかどうか。これで映ってしまうとグラボで確定です。いざスイッチオン。
しかしディスプレイはNOシグナル。はいはい、可能性は薄いと予想してました。次いきましょう。本命のメモリ。ちなみにこの時点では不具合の欠片すらまだ見つけられていません。
メモリは計4枚。一旦全てを抜いて、とりあえず1枚だけをスロットの1番目に。スイッチオンであらま。ディスプレイがNOシグナルから変化して文字が表示されたじゃないっすか。
Memory OK! succeeds in system booting! Enter BIOS setup menu and save the memory settings,
or visit ASUS website (www.asus.com) for latest BIOS version.
Press F1 to Run SETUP
F1を押してBIOSメニューへ。ざっと流し見してEXIT。この時点でよくある接触不良だと感じ少し安心モードに。気をよくしたことで調子に乗ってメモリを全差し、テスト用の起動ドライブを接続して電源を入れます。
とその前に補足。
予期せぬ事故に巻き込まれたくないので、診断中は仮ディスクを使用します。クローンを取る過程でエラーチェックも兼ねてます。
あっさり使えるようになっちゃいました。だからと言って接触不良と確定するにはまだ早いので、ここからMemtest86+を使ったメモリチェックを実施します。32GB分だから結構な時間回して2時間くらい?2周しないと気がすまないのがパソコン坊主流。稀に2周目でエラーが出たりするんですよ。ホントごくごく稀に。
しかしこれもパスしたことで、いよいよメモリ接触不良説が濃厚になってきました。内心大したことなくてホっとひと安心。
それなのに、再起動を繰り返すとたちまち不安定に。またBIOS画面になったり、NOシグナルになったりと症状が流動的。どうしたもんかと頭がぐるぐるしかけますが、一旦冷静になりましょう。こういうときはクールダウン、リセットが大事なんです。
メモリはエラーなしだった。これは動かせない事実。それなのにマザーボード上のメモリチェックLEDは点灯している。
ここでようやくDRAM_LEDが点灯している場合は、BIOS手前でコケてNOシグナルになっていることに気付く。いつもなら観察しまくってるから気付かないことないのに。と言い訳。赤点灯が隠れて見えなかったんです。ちっくしょい。
ちなみにDRAM_LEDが点灯した状態でMemOKボタンを押してやると、エラーチェックがクリアされてBIOS画面までは到達するようになりました。でもそこからまたDRAM_LED地獄。ここでスロットの不具合を疑うのは当然ですよね。良い感覚です。けれども今回はスロットではないと思いました。どういうパターンの組み合わせでもDRAM_LED地獄を突破することができなかったからです。
かといって鉄壁かというとそうでもなく、10回に1回くらいの割合でBIOSまではちゃんとたちあがってくれちゃうという思わせぶり。こうなるとグラボからメモリときて、疑惑はマザーボードになるわけです。というか、もうマザーボードとしか思えない。
解決
それを検証するためには、やはり同じ型番のマザーボードが必要となるわけで。必要とあらば調達するしかありません。
グラボ、メモリ、電源ユニットの単体テストはやっておくに越したことはないですよ。でもそれをやるだけの機材がない方はグラボとメモリの確認が取れた時点でマザーにいってもいいと思います。BIOSが起動するしない、DRAM_LEDが点灯するしない、メモリの状態に関係なく起動するしない、これらのことから電源ユニットよりはマザーだな、と肌感覚で感じられるわけです。
たまにネット検索しているとCPUが~とかありますけどね、CPUがダメになったケースに出くわしたことなんて無いですよ。修理屋やって10年以上ですが。CPU故障なんてレア中のレア。いや、無いんだからゼロか。
というわけで、今回はマザーボード交換の修理を例にしてみました。みなさんも自分でレッツ修理!
がんばってください。