ハードディスクからSSDにクローンした場合に起動しない症状が稀に発生するその解決法とは

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パソコン修理屋になる上で避けては通れない工程にクローンと言うものがあります。今回はそれについてのお話。じゃあいってみましょう。

前置き

まずクローンには2通りありますよね。ハードウェアクローンとソフトウェアクローン。わかってるよ!て感じでしょうけども。言わせてくださいよ。一応プロっぽく。

前者なら専用の機器で、後者ならパソコンを介してソフトを使います。まあ専用の機器といっても通販で5000円もしません。デュプリケーターと呼ばれる周辺機器です。使用上のコツは特になし。容量さえ気を付ければ誰だって使えます。便利すぎるから使っていない修理屋は無いと言っても過言じゃないほど。たぶん。当店調べ。

で、後者のソフト。今風にいうとアプリ。パソコンを介してクローンを作るわけです。つなぎ方はUSBがベーシックでしょうね。クローン元は内蔵のままクローン先がUSBで外付け。大抵の人がこうですが、人によってはまったく別のパソコンを用意してってのもあるでしょう。USB同士でってパターンもあるかもしれません。まぁこのへんはほんと好みってことで。語りすぎると長くなるので割愛。

で、話をさらに割愛すると、ソフトウェアクローンはたまにトラブルが発生するんです。今まで無縁だったのに。修理屋なのに。なんてこったい。なので、そんなトラブルにあったついでに、これまでの自分のソフトウェアクローンについての見識を総まとめしちゃおうかなってことを考えたわけです。全部手の内見せてもいいんじゃないのと。プロ養成講座ってことで。じゃあ実際の依頼を元にクローンについてのポイントを語っていきます。

症状

今回のノートパソコンはNECのLaVie LS700/S。型番はPC-LS700SSR-E3。家電量販店モデルかなぁ型番的に。遅いからこれを速くしてほしいというご依頼。当然、じゃあSSDにしましょうとなるのが妥当な線です。

容量が1TBから500GBになるのでソフトでクローンをとってSSDに入れ換えるという、ごくごく当たり前の作業をして動作確認。なのにスイッチオンで起動してくれません。具体的に言うと、メーカーロゴからブートしない。BIOS上ではSSDを認識。さて、どうするか。

試行錯誤

修理屋的にはここからブート修復に流れるはずです。少なくとも私は。Windows10のUSBなりDVDでスタートアップ修復、ダメならコマンドプロンプトからbcdbootコマンド。bootrecでrebuildbcdなんてのもいいかもしれません。しかし今回はダメ。まあその前にbcdeditでブート情報は見てはいます。問題ないよなぁと。なんですけどもね、まあやらずにはいられないみたいな。ここで一区切り。思ったことはブート情報が変な壊れ方しちゃったかな?ってこと。となると、やることはもう1度キレイにクローンしちゃえばいいじゃんってことです。うん、誰しもがそうなるはず。

2回目のクローンも1回目同様そのままAOMEIさんで。しかし結果は変わらず。ここでアレ?となる。なんでや?と。ブートが壊れているというよりも・・・うまくクローンができてない??

3回目はここのとこメキメキ頭角を表しているMacriumさん。というかたぶん世間的な信頼度もこちらのほうが上なんでしょう。欧米製だし。しかしこれでもダメ。ここで詰まる。まさかの八方塞がり!?

この時点でパソコン坊主の頭の中はブート領域まっしぐら。うまくクローンができないことへのイラ立ちでストレスMAXに。ただのSSD化にどうしてこれほどのダメージを食らわされてんねんと自分にムカつく始末。はぁ~。クールダウンですよ、ここは。修理屋は冷静が一番。冷静と情熱のあいだで考えをひとつずつ確認していきます。

ソフトウェアクローンで大切なことは、Windows上でクローンしないこと。これは無用なトラブルに遭わないためのマストです。分解のときはバッテリーを外すのと同様。これは当然のようにやっているからパス。

ブートメディアでのソフトウェアクローン後は、内蔵と外付けは同時起動をさせていない、というのもちょっとしたポイントです。なにかしらのドライブレターが被っちゃうとかもなし。あったとしても、BIOS上まで。BIOS起動させた上での電源OFFなら全然問題ありません。

そこまで徹底した上で。それでもクローン後はメーカーロゴから先に進まず。進んだとしても点々ぐるぐるまで。このどちらか。症状も一定ではなし。その割にはディスクアクセスはずっと点滅。う~ん。

クールダウンしながらも頭はフル回転させて、もう少し遊び半分でいろいろ試してみようと気持ちを切り替えます。こんな機会はそうないぞ、と。このマインドが大事でしょ。

これまではLS700/Sに内蔵HDDを入れたまま外付けUSBでSSDにクローンしていましたが、これを逆にしてみます。上ではBIOS上なら同時接続させていても問題ないと言い切っちゃっていますが、それすらも疑った上での作戦です。

外付けUSBから内蔵に向けてクローンを実施し、終了後は機器を入れ換えることなくそのままスイッチオンで起動させます。少しでもブート情報がおかしくなるリスクを取っ払っちゃおうという魂胆です。がー・・・これもダメ。

ちなみにここまでやってしまいました。この時点でブート問題からはおさらばすべきだったと後悔。

解決

これはまさかこの機種自体の独自問題なのか?と思いグーグル先生に問い合わせると、ちらほらとNECのLS型番でSSDがダメみたいなページが出てきてしまう。でもなあ、たぶんこれまでにLS型番でもSSDにしてきてると思うんだけどなあと疑心暗鬼に。ただのSSD化案件にここまで弄ばれるとは。が、少し時間を置くとなぜか少しうれしくなる。ドMではないはずなのに。おかしい。

元HDDは1TBでそのバックアップ用に1TBのクローンHDDはとってある。それは起動する。うん当然だ。1TBのSSDに同じようにデュプリケーターでクローンするとこれまた起動する。ここで大事なのはデュプリケーターだからというのではなく、SSDでも起動できたということ。ここをね、少し軽んじてたんですよ私。SSDでもちゃんとこの機種は動作するんだという事実を頭に入れて、もう1度シンキングタイム。

何気なく500GBのSSDではなく、500GBのHDDを手にとって外付けUSBにつなぐ。クローン元は内蔵HDD。ソフトはAOMEIさん。初志貫徹パターン。でクローン完了後、HDDを入れ換えるとすんなり起動。点々がぐるっとまわって、いつものようこそ。あぁ~・・・そういうことですか。

信頼と実績のCrucialのMX500シリーズ。それを在庫してあるもう1台に交換して再度クローンを実施。HDDをSSDに入れ換えるとあっさり起動。修理屋をこんなにも苦しめたのは、ただの初期不良でした。クルーシャルでも初期不良からは逃れられないってことですか。うん、しゃあない。

というわけでいかがだったでしょうか。SSDへのクローン後、Windowsが起動しないパターンの最終形態。ブートエラーでも、クローンエラーでも、クローンソフトのせいでもなく、ただのSSD不良というレアケース。

ちょびっと頭の片隅に入れといてもらえると、まさかのときの引き出しとして使っていただけるんじゃないかと思うのです。

これでクローンは怖くない!みなさんも自分でレッツSSD化。がんばってください。